国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
「ら、らいと、くん……」


 声を振り絞って出すが身体が金縛りに合っているかのよう。


「ん……羽花もさっさと風呂入ってきな。お湯溜まってるんだからしっかり温まってこいよ。今日一日疲れただろう」


 私の頬に触れていた左手はスッと離れていった。離れたはずなのに私の頬はまだ燃えるように熱い。


「わ、私もシャワーでじゅ、十分です」


「それはダメ。なんのためにお湯溜めたんだよ、今日は疲れただろう。ちゃんと温まってこいよ? これご主人さま命令だから」


「ご、ご主人さま命令ですか……」


「そう、だからゆっくり入ってきな」


 いつの間にか意地悪な笑みは消え去り優しく穏やかな表情を私に向けている。


(私のためにお湯をはってくれたのかな……?)


 そう考えると胸がギュウッと締め付けられるように苦しくなった。なんだろう、さっきからずっと胸が苦しい。やっぱり疲れているのかもしれない。お言葉に甘えて湯船に浸からせてもらおう。


「じゃあ……お言葉に甘えてお風呂お借りします」


 雷斗くんは満足そうに「ん、いってきな」と私の頭をポンポンと撫でた。

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