国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
「あ〜腹減った。朝ご飯用意してくれたの?」


 雷斗くんはクンクンと匂いに誘われるようにキッチンに来た。


「お、目玉焼きじゃん。久しぶりに食べるな、楽しみ」


 お顔が、綺麗なお顔が近いです。


 フライパンを持つ私の背後に立ち上から焼いている目玉焼きを覗き見る雷斗くん。雷斗くんが後ろにいるせいだろうか背中が燃えるように熱い。


 恥ずかしさのあまりフライ返しを片手に「あ、あのっ、もう出来るのでテーブルで座って待っていてくださいっ!」と雷斗くんをキッチンから出て行ってもらった。


 ほっとひと息、深い溜息を吐く。


(あやうく目玉焼きを焦がしてしまう所でした)


 お弁当を作るときに茹でたほうれん草をマヨネーズで和えたもを目玉焼きに添え、焼き上がった食パンを皿に乗せて出す。


「あの、昨日バターを買うのを忘れて何も食パンついてないんですけど、大丈夫ですかね? もし要らないようでしたら残しちゃってください! 私が食べますからっ」


 眼鏡の奥の漆黒の瞳を見るとやっぱり雷斗くんだ。彼は瞳を細めて優しく笑う。

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