国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
放課後
終業のチャイムが鳴る。今日一日ずっと人から見られていて息をしている気になれない。私は急いで荷物を鞄にしまう。
(は、早く家に帰りたい……家……雷斗くんの家に帰らないといけないのかな)
またあの意地悪悪魔に振り回されるんだ……
「羽花、帰るよ」
「ふぇ!? なななななぜココにっ」
鞄をギュッと胸に抱きしめる。なんで雷斗くんが私のクラスの中にいるのですか!? また皆の注目を集めてしまいました……
「ほら、一緒に帰ろう」
伸びてきた左手は私の頭を掻き抱き、流れるよう下へ滑り込んできた。私の右手はいつの間にか雷斗くんの左手に自由を奪われている。
「あ、あのっ」
これは俗に言う手を繋いでいるというやつではないでしょうか。行こう、と自由を奪われた手を引かれ突き刺さる視線の中、学校を出た。
なんだかもう途中からは離してくださいと言うのも止めた。だって言っても絶対離してなんてくれないと思うから。
繋がれた手、恋人同士でもなければ好き同士でもない。そうじゃなくても手は繋げる。雷斗くんはどんな気持ちなんでしょう。子供がどこかに離れていかないように手を繋いでる親のような心境とかでしょうか。サラリと手を繋いでしまうあたりが慣れを感じさせる。
(私は色んなことでドキドキして、こうして手を繋がれてることだってドキドキしてるのになぁ)
ジィっと横顔を覗いてみるけど全く顔色一つ変わっていない。
(やっぱり私だけがドキドキしているようですね)