国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
「もうすぐ届くと思うけど」


「嬉しいです!!! ピザなんて何年ぶりだろう〜楽しみだなぁ。あぁっ! 本当は私がお世話しないといけないのに、喜んじゃってごめんなさい」


 つい嬉しくて雷斗くんの膝の上にいる事をすっかり忘れて喜んでしまった。降ります! と言ってもガッチリとホールドされ動けない。


「こんなに喜んでもらえるなんて思ってなかったわ。一緒に食べような」


 雷斗くんが言葉を発するたびに声が身体に響いてくる。距離が近いせいだ。でも、恥ずかしいけど、こんなに密着されて嫌なはず……なのに嫌じゃない。むしろ疲れがふあーっと溶けていくような温かさだ。


「あ、あの……」


「ん、ピザが届くまであと少しだから」


 言葉を返せなかった。あと少しだけ、そう言ってギュウっと力を入れ直した雷斗くんの声が何だか少し元気がないような、そんな気がしたから。


 こうして静かに体温を重ねていたのはほんの数分の出来事だったと思う。それなのに時間が止まったかのように長くゆっくりに感じた。

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