国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
「そーいえば羽花のクラスは文化祭の出し物決まった?」


「まだです。皆色んな意見を出し合っていて凄いですよ。お化け屋敷とか、カフェとか」


「へぇ、まぁクラスの打ち解けが目的で五月に文化祭だもんな〜、羽花はクラスに馴染めた?」


「私も今までは壁のように馴染めてましたよ……今まではね……」


 去年は看板の色絵をひっそり塗ったり、ゴミを集めては捨てるを繰り返したりしていたけれど今年は注目を集めてしまったためそうもいかなそうだ。泣きたくなる。


「今まではね〜、羽花はやりたいこととかないのか?」


 顔を覗き込まれる。ジィっと漆黒の瞳に見つめられてなぜか逸らすことができない。


「わ、私はなんでもいいです。皆さんが楽しければそれで」


 私なんかが意見するなんて滅相もないです。


「本当はやりたいこととかあるんじゃねぇの?」


(お、お顔が近すぎますっっっ)


 更に覗き込んできた雷斗くんの顔が目と鼻の先に、近すぎて息をするのも無理! パッと顔を横にずらした。


 それでもまだ雷斗くんは私を見つめ続けるのを止めない。なんだか心の中まで見られてしまっているよう。


(本当は皆と一緒にカフェとかをやってみたいって夢……バレてしまっているんでしょうか。もしかして顔に出ちゃってた?)

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