国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
 自分だけがドキドキしていたようで雷斗くんは普通にいつも通りな様子。そのままお風呂場へと消えていった。


 残された私は火照った身体を冷ますように水を流し食べ終えた食器を洗った。


 ――勇気を出して。


 ――たった一度の高校二年生の文化祭。


 ――羽花、俺はずっと側に居るからな。


 雷斗くんの言葉が何度も何度も頭の中をグルグルと駆け回る。


(勇気を出してダメだったら励ましてくれるって雷斗くん言ってくれたな……)


 ひっそりとしていたはずの高校生活も90%くらい雷斗くんのせいで変わってしまった。けれどもしかしたらこれがキッカケでまた昔みたいに、イジメられる前の自分に戻れたら……楽しかった学校生活に戻れたら……


 もし、ダメだったとしても雷斗くんは自分がそばに居てくれると勇気づけてくれた。


 グルグル周りすぎてくらりと目眩を起こしそうなくらい、私の頭の中に言葉が居続けた。

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