国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
「でも和菓子なんて作れる人このクラスにいるの?」


 明日香さんの一言で教室がざわめきだした。


「た、確かに。私食べる専門」
「俺も食べ専だわ」


 ……私、作れます。でも私が作ったお菓子なんて汚いとか思われてしまうでしょうか。


(でも……)


 ――たった一度の高校二年生、楽しまなきゃ損。


 雷斗くんの言葉を鮮明に思い出し、また、頭の中をぐるぐると回る。


 私にも出来ることがあるなら本当は皆と一緒にワイワ楽しみながら行事に参加してみたい、みたいけれど……なんて思われるだろうか、また小学生の時みたいに汚いとか言われてしまうんだろうか、怖くて一歩が踏み出せない。


 悔しくて唇を噛む。


「和風カフェいいと思ったけどやっぱり無理そうだね〜、諦めて他になんか案ある人〜?」


 明日香さんの問いかけに教室がざわめき出す。


(あ……違う案になっちゃうのかな)


 やっぱり自分にはまだ踏み出す勇気が出なかった。

< 92 / 225 >

この作品をシェア

pagetop