国宝級美男子のお世話は甘い危険がいっぱい〜私の心臓いくつあっても足りませんっ〜
 たくさんの息を吸い自分を落ち着かせる。


「わ、私、和菓子なら作れます! 羊羹なら前日に作っておけばいいですし、白玉を使ったパフェも可愛いと思いますし、黒糖で作ったわらび餅を小さく切ってミルクティーに入れたら和風のタピオカにもなると思います!……ど、どうでしょうか?」


 芸人が大滑りしたようなシーンとした教室。や、やっぱり私が急にでしゃばってはいけないもだったんです……


(ものすごい空気になってしまいました……雷斗くん、やっぱり私には励ましが必要なようです)


 すいませんでした、とボソリと呟きながら椅子に座る。でも、なんだろう、失敗して大滑りしいてしまったのに気持はとっても晴れていて、軽くなった心の風船は大空にフワフワと気持ちよさそうに飛んでいく。


(なんでしょう、失敗してしまいましたがこんな気持久しぶりです。後で雷斗くんに報告しましょう!)


「中条さん!!!」


「は、はいぃぃぃっ!!!」


 明日香さんに勢いよ呼ばれ驚きのあまり私も勢いよく返事をしてしまった。


「いい! いいよ中条さん! すごくいいアイディアだと思う。ねぇ皆もそう思わない?」


 静まりかえっていた教室は明日香さんの一声で一気に活気を取り戻し。たくさんの声がまた飛び交う。


「最高! まさか中条さんアイディア出してくれるなんて思ってなかった。不意打ち最高〜」
「俺もまじでビックリしたわ!」
「白玉パフェとか絶対美味しいやつだよね」


 教室の温かな雰囲気に嬉しくて涙がじわじわと溜まっていく。


(はわわわ……どうしましょう……嬉しくて涙が溢れてしまいそうです)

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