おとぎの檻



悲鳴をあげるわたしに、楽しげに笑う男。


猟奇じみた空気がこの場を支配していた。




「二つ目ですね。ふふ、やはり綺麗な刻印だ。朝佳さん、そんなに僕からの証が欲しいんですか?」

「はぁ…はっ」


「痛みで息もままなりませんか。可哀想に…。大丈夫。苦しげな声も表情も、すべて美しいですよ」




ジンジン痛む刻印を、ベロリと舐められる。



「いた、い…やめてっ」



涙をこぼして首を振る。


それでも舌はわざとらしく、何度も何度も
刻印の上を舐(ねぶ)り倒してきた。



今すぐ逃げたいけど
目を開けてしまえば抉られてしまう。
この狂気に満ちた男なら…やってのけてしまうという確信があった。



< 11 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop