おとぎの檻
悲鳴をあげるわたしに、楽しげに笑う男。
猟奇じみた空気がこの場を支配していた。
「二つ目ですね。ふふ、やはり綺麗な刻印だ。朝佳さん、そんなに僕からの証が欲しいんですか?」
「はぁ…はっ」
「痛みで息もままなりませんか。可哀想に…。大丈夫。苦しげな声も表情も、すべて美しいですよ」
ジンジン痛む刻印を、ベロリと舐められる。
「いた、い…やめてっ」
涙をこぼして首を振る。
それでも舌はわざとらしく、何度も何度も
刻印の上を舐(ねぶ)り倒してきた。
今すぐ逃げたいけど
目を開けてしまえば抉られてしまう。
この狂気に満ちた男なら…やってのけてしまうという確信があった。