おとぎの檻



すると


ツゥ…と、甘い液体を注ぎこまれた。



口を塞がれているから吐き出す術なんかなく、大人しく飲みこむしかなくて。




「いいこですね」



唇が解放されたと同時

低い声に鼓膜を揺さぶられる。


心地のいい声音だった。




「…んぅ」



眠たくて体が鉛のようだけど
その声の主を確認したくて必死にまぶたを上げようとした。


それなのに



「起きてはいけません」



大きな手に目もとを覆われてしまった。



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