初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
その時間だと披露宴が終わるのは、午後九時すぎになるだろう。
招待客の帰りが遅くなってしまうのが気がかりだけど、二次会を開催しなければその問題はクリアできそうだ。
「ほかの日の空きはないんですよね?」
「はい。申し訳ございません」
彼が確認のために尋ねると、残念な答えが返ってきた。
一年前から式場を押さえるカップルがいるなか、空きがあっただけでもラッキーだと思わないといけない。
「大安じゃないけど、その日でいい?」
「私はそれでいいけど、直君は?」
「俺も六曜はあまり気にしない。小夜子ちゃんがいいならこの日に決めるか?」
「うん」
彼にうなずき、契約の前に式場を案内してくれるというプランナーの後をついて行く。
クラシカルなステンドグラスが目を引くチャペルは厳粛な雰囲気が漂っており、招待客が三百人まで収容できる披露宴会場は、大きな窓から東京の景色が一望できて、夜になれば幻想的な夜景が広がるだろう。
「素敵だね」
「ああ、そうだな」
多くの招待客に祝福されて、結婚式をあげる自分たちの姿を想像しただけで気分が高まる。
心を弾ませてウエディングサロンに戻ると予約を済ませ、ふたりで微笑み合った。