初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
彼の首に腕を巻きつけて、心地いい振動に身をゆだねていると寝室に着いた。
朱色の枕カバーとフットスローが映える、キングサイズのベッドの上に体が静かに着地する。
寝室の大きな窓の外には、黄昏時と重なったオレンジと藍色のグラデーションが美しい空が広がっているけれど、今はその綺麗な景色に見惚れる余裕はない。
「小夜子」
私の名前をささやき、覆いかぶさってきた彼の顔がゆっくり近づいてふたりの唇が重なった。
愛をたしかめ合うようにキスを交わし、彼の広い背中に腕を回す。
緩急をつけて繰り返されるくちづけに夢中で応えていると、彼の唇が耳もとに移動する。
耳たぶを何度も甘噛みされて息を上げている間に、前開きのワンピースのボタンがはずされ、胸もとがはだけているのに気づいた。
「あっ」
反射的に体の前で腕を交差させたものの、簡単に手首を掴まれてしまう。
「隠しても無駄」
彼が片手で私の両手首をシーツに縫い留め、口角を上げて不敵な笑みを浮かべる。
不覚にも普段とは少し違う強引な一面に胸がときめいたとき、彼が背中に手を忍ばせて下着のホックを器用にはずした。
『今すぐ抱きたい』と言う彼に同意したのに、素肌を見られるのはやっぱり恥ずかしい。
「ま、待って」
「ダメだ。待てない」