初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
「それで今日は、小夜子さんと一緒に結婚の報告に参りました」
とうとう、このときが訪れた。
心臓がドキドキと大きな音を立てるなか、何度も練習してきた言葉を口にする。
「直斗さんと協力して温かい家庭を築きたいと思っています。よろしくお願いいたします」
頭を下げて返事を待つこと数秒。
「こちらこそ、よろしく」
私たちの結婚を認めるお父様の声がリビングに響く。
結婚式場を押さえるためとはいえ、ご両親の許しも得ていない状態で話を進めることに気兼ねを感じていた。でもこれからは、晴れやかな気持ちで準備に臨める。
胸をホッとなで下ろして彼と微笑み合っていると、お母様がソファから立ち上がった。
「さあ、堅苦しい挨拶はこれくらいにしてお昼にしましょう」
「そうだな」
ダイニングに向かうお母様の後を、お父様が追う。
「立派な挨拶だったよ」
「ありがとう」
褒め言葉をうれしく思い、彼の手を借りてソファから立ち上がって食事の準備の手伝いをするためにダイニングに急いだ。
六人がけの大きなテーブルの上には、すでに多くの料理が並んでいる。
「普段は週三日通って来るメイドが作った料理をいただくのだけど、今日は特別な日だから朝から信吾さんとふたりで張り切って作ったの」
お母様が言う『信吾さん』とはお父様の名前で、話を聞いているだけでふたりの仲のよさが伝わってきて心が和んだ。