初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
結城のおじさまと直君の再会に立ち会えたことを、うれしく思った。
おじさまが冷蔵庫からシャンパンのボトルを取り出し、グラスとともにテーブルの上に置く。
「直斗。頼むよ」
「はい」
彼がポンという音を立ててボトルの栓を抜き、縦長のグラスにシャンパを注ぐ。
「どうぞ」
「ありがとう」
その手際よさに感心して、目の前に差し出されたシャンパンを彼から受け取った。
「では、再会に乾杯」
おじさまの言葉が合図となり、グラスを軽く合わせてシュワシュワと泡立つ液体に口をつける。
「小夜子ちゃん、綺麗になったね」
あまりにも唐突なおじさまの褒め言葉に驚き、シャンパンが気管に入ってしまった。
涙目でケホケホとむせ返っていると、直君が背中を優しく擦ってくれる。
「大丈夫か?」
「う、うん。ありがとう」
心配げに顔を覗き込む彼にお礼を言い、おじさまを軽く睨む。
「もう! 心にも思っていないことを、突然言わないでください」
いい気分でシャンパンを味わっていたのに、これじゃあ折角の乾杯が台無しだ。
クラッチバッグからハンカチを取り出し、口もとを押さえて不満を訴える。
「お世辞じゃないよ。本当に綺麗になった。直斗もそう思うだろ?」
この状況で同意を求められたら、誰だってYESと言うしかない。