初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
「今度はゆっくり会いたいし、コンサートにもまた行きたい」
「そうだな。そろそろ応接間に戻るか」
「うん」
プロポーズされて浮かれていたけれど、話の途中で応接間を抜け出してきたのを思い出す。
両親は私たちが戻るのを、首を長くして待っているだろう。
彼の手を借りてソファから立ち上がると、ふたりの思い出がまたひとつ増えたサンルームを後にした。
「話は終わったのか?」
応接間に戻ると父親が気ぜわしく尋ねてくる。
「はい。小夜子さんに改めてプロポーズして、承諾してもらいました」
「それはよかった。これで結城さんも安心するだろう」
彼の返事を聞いた父親が、満足げにうなずく。
私たちの結婚を喜ぶ様子を見たら、胸がじんと熱くなった。けれど、父親のある言葉に違和感を覚え、その感情もすぐに消える。
「パパ? 結城のおじさまが安心するって、どういう意味?」
「……ん? なんのことだ?」
「とぼけないで、ちゃんと答えて」
話をうやむやにされないように厳しく問い詰めると、父親が渋々口を開いた。
「結城さんに相談されたんだよ。直斗君に誰かいい人を紹介してくれないかって」
「えっ?」
初めて聞く話に驚いた彼が珍しく大きな声を上げる。