初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~

「だったら小夜子はどうだって話になってな。初めは見合いの席でふたりを再会させてビックリさせようとしたけど、小夜子が(かたく)なに嫌がっただろ? だから結城さんがふたりをコンサートに招待したんだ」

あまりにも突飛な説明に耳を疑う。

二十七歳の誕生日を迎えた途端、やたらとお見合いを勧めてきた理由はなんとか納得できたものの、ウィーンでの再会が父親と結城のおじさまによって仕組まれたものだったのがどうしようもなく悔しい。

「もう、信じられない!」

勝手な父親とおじさまに腹が立ち、風船のように頬を膨らます。そんな私の前で、母親が静かに口を開いた。

「そんなに怒らないの。パパも結城さんも、小夜子と直斗さんに幸せになってほしいだけなのよ」

父親とおじさまのお節介がなかったら、私と彼が再会することはなかった。

そう思うと、怒りも長くは続かない。

「小夜子さんを必ず幸せにします」

「ああ。よろしく頼むよ」

「はい」

父親に改めて頭を下げる彼の姿を見たら、愛されているという実感がじわじわと込み上げてくる。

両親と結城のおじさまへの感謝を胸に、彼と幸せになると心に固く誓った。
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