初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
嫉妬に狂う
結婚の意思をたしかめ合ったのも束の間、休日出勤が続いている彼と思うように会えない日が続く。
ビデオ通話でお互いの顔を見て話をしても、物足りなさを感じていた六月中旬の金曜日の夜。夕食を終えて部屋でくつろいでいると、彼からのメッセージがスマホに届いた。
【明後日の日曜日は空いているか?】
簡素な文章は微笑ましいけれど、ビデオ通話じゃないのが寂しい。
今の時刻は午後八時三十分。もしかしたら、まだ仕事中で合間を縫って連絡をくれたのかもしれない。
【日曜日は特に予定はないです。直君と会えたらうれしいです】
彼に倣ってできるだけ短いメッセージを返す。
初めこそ、顔を見て話せないのを残念に思ったけれど、面と向かって言えない恥ずかしいこともメッセージなら伝えられる。
どんな言葉が返ってくるのか心待ちにしていると、すぐに返事が届いた。
【仕事が終わったら、また連絡する】
素気ない返信にがっかりしたものの、仕事中なら仕方ないと自分に言い聞かす。
【お仕事がんばってね】
【ありがとう】
最後に短い言葉を交わし、やり取りが終わる。
今度の日曜日、期待していいのかな。
ベッドに横になって彼への思いを募らせていると、手にしたままのスマホが再び音を立てる。
今度は誰から連絡だろうと思いながら、体を起こして画面を覗く。すると、そこには目を疑うような言葉が表示されていた。
【俺も会いたいよ】
ほんの少し時間を置いた不意打ちの甘い言葉は心臓に悪い。
「もう……。ますます会いたくなっちゃうよ」
鼓動が激しく乱れ、頬が熱を帯びるなか、彼から届いたメッセージを何度も読み返した。