初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~

「脱いで」

「えっ?」

私をマンションに連れて来たのは、体が目的だったの?

あまりにも露骨な言動に衝撃を受けて愕然としていると、彼が寝室の奥へ姿を消した。

大好きな直君と、いずれそういう関係になれたらいいと思っていても、今はまだ心の準備が整っていない。

きちんと思いを伝えれば、直君はきっと私の気持ちを理解してくれるはずだ。

徐々に冷静さを取り戻し始めたのを実感していると、彼が奥から姿を現した。

「いつまでも濡れたままでいたら風邪を引く。早くこれに着替えるんだ」

綺麗に折り畳まれた服を手にした彼が、険しい表情を浮かべる。

どうやら、寝室の奥はウォークインクローゼットで、着替えを取りに行っていたようだ。

「ありがとう」

「俺は廊下を進んだ先にあるリビングにいるから、着替えが終わったら来てくれ」

「うん。わかった」

着替えを受け取ると、彼が寝室から出て行った。

直君はやっぱり紳士で優しい。それなのに、彼の振る舞いを勝手に勘違いしてしまうなんて、そそっかしいにもほどがある。

ため息をついて肩を落とすと、急に寒気を感じた。

ワンピースは濡れたままだし、タクシーの車内も冷房が効いていたせいで体が冷えてしまっている。
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