初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~

「えっ?」

「できるだけ早く結婚式をあげたいと思って、いろいろと調べた」

彼がこの手の雑誌を読んでチェックするとは意外で、ウエディングドレスを身にまとった女優がニコリと微笑む表紙と彼の顔を交互に見つめた。

夏休みに結婚の挨拶をするために、彼のご両親が住むマレーシアに行くことはすでに決まっている。でも、まだ承諾も得ていないのに結婚を()かされても困る。

どういう返事をしたらいいのか頭を悩ませていると、白のスパークリングワインとカプレーゼが運ばれて来た。

「乾杯しようか」

「う、うん」

グラスを合わせて細かい泡が立つワインに口をつける。

「小夜子ちゃんはどんな式をあげたい?」

海の見える教会で直君とふたりきりで愛を誓い合うシチュエーションに憧れはあるけれど、それだとお世話になった人たちに感謝の思いを伝えられない。

「ありがとうって気持ちがひとりひとりに届く、温かい式をあげたい」

「そうだな。俺もそう思う」

私の意見に同意してくれた彼が大きくうなずく。

それぞれの職場の上司や同僚、友人はもちろん、結城のおじさまにも結婚式には絶対出席してもらいたい。
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