初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
「うん、わかった。直君はどんな式にしたい?」
ようやく話がまとまると、今度は彼の理想とする結婚式が気になる。
「結婚式の主役は花嫁だから、小夜子ちゃんが気に入った場所で式をあげるのが一番いいと思う。でも、天候に左右されるガーデンウエディングや、招待客に負担がかかるリゾート地での結婚式は反対だな」
さすが、結婚情報誌でいろいろと調べただけのことはある。
私より結婚式に詳しい彼に驚く。
「今度の日曜日まで、この雑誌を読んで勉強しておきます」
「ああ、そうしてくれ。ちなみに俺が気になるところに付箋を貼っておいたから」
「うん。ありがとう」
彼のリードを心強く思っていると、オーダーしていた料理が運ばれて来た。
「うわぁ、おいしそう!」
真っ白な大きなお皿に上品に盛りつけられたボロネーゼを見て声をあげる私を、彼がクスクスと笑う。
「小夜子ちゃんの笑顔を見ると疲れも吹き飛ぶ。仕事終わりのデートもいいもんだな」
海外暮らしが長いせいか、彼はときどきこちらが赤面してしまうようなセリフをサラリと言ってのける。
「また、誘ってね」
「ああ。そうする」
ストレートな愛情表現を照れくさく思いながら、平日の夜のひとときを楽しく過ごした。