一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
「はい...」
「失礼します」と言って総司が部屋に入ると
かよ子はクリクリとした大きな目を向けた。
「あ、立花さん...お疲れ様です」
かよ子は恥ずかしそうに総司に
ペコリと頭を下げた。
「可愛い過ぎるというのも問題ですね...」
総司はボソッと呟いた。
かよ子は聞き取れずに首を傾けると
総司はかよ子を見つめてフッと微笑んだ。
「一色くんに食事に誘われたみたいですね」
「あ、はい...断りきれなくて...」
「お二人で行かれるのですか?」
「あっ、いえ...
秘書課の瑠花さんと営業部の人をもう一人
誘うと言ってました...」
「松原さんも行くのか...」
総司は少し考えるように
顎に手を当てている。
「あの、立花さん...
神崎さんには今日は少し遅くなるかもしれないと
伝えてもらいたいのですが....」
「承知しました。
しかし、かよ子さん...
男は狼と言うことを肝に命じて
お酒は控えてくださいね?」
「えっ?狼ですか...?
あ、でも...私...お酒を飲むと眠くなるので
外では飲まないと決めていて...
なので迷惑はかけないかと...」
「そうですか...お酒を飲むと眠くなるというのは
安易に他の男性には言わないほうが身のためですよ」
「あっ、はい...分かりました」
総司の言葉にかよ子はキョトンとした顔で頷いた。
う~ん...この可愛いお姫様は
絶対意味が分かってないだろうな...
さて、どうしたものかな...
総司はこの純粋無垢なお姫様を前に
首を捻った。
「心配ですね...
でもまあ、あとは悪魔の王子に任せるとしましょう。
それではかよ子さんまた来ますね」
頭の中が?マークで埋め尽くされているかよ子に
総司はクスッと笑ってそのまま出て行った。
立花さんて謎の人だなぁ...
そう思いながらかよ子は
再びキャンバスに向かって筆を走らせた。