一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない


かよ子達が歓迎会で盛り上がっている頃、

翼は総司と高級クラブで取引先の接待をしていた。


取引先の社長は両隣に女の子をはべらせて

満足そうにお酒を飲んでいる。

それを少し離れた席で

冷めた目で見つめながら二人はお酒を煽っていた。


「おい、総司!いつ帰れるんだ?」


翼はボソッと呟くと

イライラした様子で腕時計を確認する。


「あの社長は女の子大好きですからね。

アフターまで付き合わされるかもしれませんね」


「チッ、行きたきゃ一人で行けばいいのに...」


「私達が参加するとアフターで

女の子の出席率がいいですからね。

帰してはくれないでしょうね...」


総司の言葉に翼はハァッと大きな溜め息をつくと

グラスのお酒を一気に煽った。


かよ子さんと最近まともに話ができていない。

しかも、この前かよ子さんに避けられて以来、

拒まれるのが恐くて手を出せないでいる。

今まで女にどう思われようが気にしたことなど

なかったのに...

かよ子さんには嫌われるのが

恐いだなんで30過ぎて情けなさ過ぎるな...


こんなこと絶対総司には知られたくない...


翼はチラッと横目で総司を見ると


「あーーー!!」


いきなり総司が何かを思いだしたかのように叫び

翼はビクッと肩を震わせた。


「なんだよ?」

翼が呆れたような顔で見つめている。
< 120 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop