一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
翼はマンションに着くと
かよ子を抱えたまま
真っ暗な自室に入り
起こさないよう
そっとベッドの上へ寝かせた。
そして枕元に置いてあるスタンドライトの
スイッチを入れると
やわらかい光が部屋全体を優しく照らし出した。
かよ子は目を覚ますことなく
すやすやと幸せそうに眠っている。
翼はホッと安堵の表情を浮かべると
スーツの上着を脱いで
ベッドの横にあるデスクチェアに
無造作に掛けた。
きっと彼女はこんなにも俺が
彼女を他の男に奪われることを恐れているなんて
夢にも思ってないだろう...
ずっと狭い世界で暮らしてきた彼女に
色々な世界を見せてあげたい。
しかし、彼女の世界が広がれば広がるほど
自分から離れていってしまいそうで恐くなる...
翼は横目でかよ子の寝顔を見つめながら
ネクタイを緩めるとスッと外して
スーツの上着の上にそれを投げた。
彼女は彼女が自分自身で思っている以上に
人を惹き付ける魅力を持っている...
それは外見の美しさだけじゃなく
他人の弱い部分を受け入れる優しさや
柔らかい物腰のなかにある凛とした強さに
皆惹かれてしまうのだ...