一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
やっぱり私だと、頼りないのかな...
私はひとつため息をこぼすと、
お盆に蓋をした土鍋と小鉢に盛り付けた梅干し、
取り皿とれんげを乗せ、
お水と風邪薬を添えて寝室へと向かった。
コンコンコン
私はお盆を手に寝室のドアを
ノックしてみたが中から返事はない。
そっとドアを開けて覗いてみると
神崎さんは目を閉じて眠っているようだった。
私は部屋に入ると
音を立てないよう、そっとドアを閉めた。
そして、ベッドの横にあるサイドテーブルに
お盆を置くと、コロ付きのデスクチェアを
ベッドの横までコロコロと転がしてきて腰を下ろした。
さて、どうしようかな...
お粥冷めちゃうけど、寝てるのを起こさないほうがいいよね...
私は手持ち無沙汰になり、
神崎さんの寝顔をジッと眺めた。
寝てるときくらいしか、神崎さんの顔を
こんなにじっくり見ることができないけど
ほんとに男の人とは思えないくらい綺麗な顔だな...
「ん...」
ふいに眠っている神崎さんが熱で苦しいのか
苦痛に顔を歪めた。
神崎さん...
私は思わず手を伸ばすと
神崎さんの頭を優しく撫でた。
早く神崎さんが元気になりますように...
すると神崎さんの目がゆっくり開いた。