一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
Sideかよ子

私は瑠花さんに誘われて、お昼に会社の近くの定食屋さんに二人で訪れていた。

「えっ...
瑠花さん、勝さんに告白したんですか!?」


私は瑠花さんから出た衝撃の言葉に
思わずポロッと箸で掴んでいたジャガイモを
落としてしまう。
しかし、落ちたジャガイモは運良く肉じゃがの入ったお皿の上へと着地した。

何か話があるのだろうとは思っていたのだけれど...

もう告白しちゃったとは..

瑠花さんの素早い行動力もさることながら
その勇気は今の私にとっては尊敬に値する...


向かいの席では苦々しい笑みを浮かべた瑠花が、カレーライスを頬張りながらコクンと頷いた。

「私、かよ子さんに背中押されてから
意を決して勝さんに告白したんです。
そしたら、勝さんの方は特定の彼女は
作る気はないらしくて...
振られちゃいました!」


ハハッと笑いながら気丈に振る舞う瑠花のまぶたは、泣き腫らしたのか赤みを帯びていた。

「瑠花さん...
ごめんなさい...私が余計なこと言ったから...」


「えっ!?かよ子さん!謝らないでください!私、後悔はしてないですよ!」


そう言って、笑う瑠花の瞳に嘘はないように思える。

「これでまた前に進めます!
それにかよ子さん、言ったじゃないですか?
私じゃなきゃ駄目な人がきっと現れるはずだって!
今度は絶対に素敵な恋をするんです!」


そう言って、穏やかな笑顔を向ける瑠花さんは、女の私から見てもとても綺麗でドキドキした。


例え、失恋したとしても、決して瑠花さんが勝さんを好きになったことは無駄なことなんかじゃない。


この痛みに乗り越えた先に
必ず素敵な未来が待ってると信じて
輝いてる瑠花さんを見ていると
そう思えてくる...


「はい...今の瑠花さんなら、きっと...」


きっと...素敵な未来が待ってるはず...


私はキラキラと輝く瑠花さんの瞳につられて目を細めた。
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