一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
「ごめん...
勘違いさせてかよ子さんを苦しめてしまった...
凪沙さんとの結婚はお断りしてるよ...
昨日はそのお詫びに知人を紹介したんだ...」
えっ...?
私はそっと体を離して神崎さんの顔を見上げた。
「か...勘違い...?」
まだ少ししゃくりをあげながら言う。
神崎さんはコクンとうなずきながら微笑んだ。
そして私の涙で濡らした頬を
両手で包み込んだ。
「かよ子さん...好きだよ...
出逢ったときからずっと...
僕は君に恋してるんだ...
そんな僕が他の人と結婚なんてするわけないよ」
その言葉に私の大きな瞳からは
再びポロポロと溢れ出し、
神崎さんの両手を濡らしていく。
神崎さんは優しい眼差しで私を見つめながら
頬から手を離すと
もう一度、ギュッと私を腕の中に閉じ込めた。
「かよ子さん、ずっと一緒にいよう...」
神崎さんが耳元でそう囁いたとき、
私の胸は温かい空気で包まれるような
安心感を覚えた。
私は幸せに顔を綻ばせると、
神崎さんの背中に回した腕に力を込めて
ギュッと抱き締め返す。
こんなにも私に幸せを与えてくれるのは
あとにも先にも神崎さんだけだろう...
「かよ子さん...
こんなに幸せな気持ちは
生まれて初めてだよ...」
神崎さんも私と同じことを考えていたんだ...