一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

「かよ子さん、バニラとストロベリー
どっちがいい？」


神崎さんがソフトクリームを両手に
ベンチに座る私の前に差し出した。


「じゃあ、ストロベリーを...」


「はい」と神崎さんがピンク色のソフトクリームを私の前に差し出した。

「ありがとうございます」

私はおずおずとそれを受け取った。


神崎さんは満足そうに微笑むと、
私の隣に腰を下ろした。


私達の目の前には赤や黄色のポピーの花々が
風に優しく揺れている。


「こんなにゆっくりしたのは
桜の花見したとき以来だな...」


「はい...なんだかとても癒されました」


嬉しそうに遠くを見つめるかよ子の瞳には
赤や黄の花が映り、キラキラ輝いている。

そんなかよ子の横顔を見つめながら
翼は目を細めると
ふぅっと大きく息を吐いて、口を開いた。


「かよ子さん...」


神崎さんの声に私は目線を横に移す。


「ずっと寂しい思いさせてごめん...
これからも仕事でかよ子さんに寂しい
思いをさせてしまうかもしれない...
それでも僕はかよ子さんとこの先もずっと
一緒にいたいんだ...
かよ子さん...
僕と結婚を前提に付き合ってほしい」


真剣な眼差しで見つめる神崎さんに
私は一瞬、目を見開いたが、
「はい...こちらこそよろしくお願いします...」と、満面の笑みを浮かべてぺこりと頭を下げた。