一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
「かよ子さん...あんまり煽ると
優しくしてあげられなくなっちゃうよ...?」


その言葉に私はパッと手を離すと
目の前の神崎さんと目が合う。

神崎さんはフッと優しく包み込むような笑みを浮かべて
「嘘...優しくするから...」
抱き上げたまま、ギュッと抱き締めた。


私もホッと小さく笑みをこぼすと
再び神崎さんの首もとに腕を回してギュッとしがみついた。


神崎さんの首筋からは爽やかなシャボンの香りが漂ってきて私の緊張をほぐしていく。


神崎さんは抱き上げたまま、
隣の部屋まで歩みを進めると
布団の上に私をそっと降ろした。


真っ暗の部屋の中では
が神崎さんが今、どんな表情をしているのか分からない。


一つわかるとすれば、
私の全身がまるで心臓になったように
ドドドドっと脈を打っていることだけだ。
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