一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
もう...神崎さんったら子どもみたい...

私は呆れたように息を吐いた。


「じゃあ、教えますけど、絶対に笑わないでくださいね...」



「俺がかよ子さんのこと笑うわけないよ。」



「実は、、。
ひみつにしてたのは神崎さんの子どもの頃の
写真をお父さんに頼んで1枚頂いたんです...
それを宝物にしよう思ったんですけど、
恥ずかしくて言えなくて...」


私は顔を赤らめてうつむいた。

「えっ?俺の写真?」


私はこくんと頷いた。


すると、神崎さんはポカンとした様子
「そうだったんだ...」
と、呟いた。


そして、「やばいな..嬉しすぎて顔がニヤける...」と、顔を隠すように両手で覆ってうなだれた。


神崎さんは胸に膨れ上がっていっぱいになった気持ちを押し出すようにハァっと息を吐く。


「かよ子さん...」


「は、はい...」


「遠い...」


「えっ?」


「もうちょっと近くに来て...」


私は戸惑いながらも人ひとり分、空いている席を詰めようと立ち上がった瞬間、

グイッ

神崎さんに腕を引っ張られて
スポンっと神崎さんの股の間に座らされた。


そして、後ろから神崎さんにギュッと
優しく抱き締められた。


「何の写真を宝物にしたの?」

神崎さんは私を抱きしめながら
優しい声色で問いかけてくる。


「それはひみつにしてもいいですか...?」


私の言葉に神崎さんは少しの沈黙の後、
「もう、可愛いから何でも許す...」
一言呟くと、私の首元に顔を埋めた。


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