一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
ジリリリリリッ


けたたましい目覚まし時計の音に
私は目を覚ました。

いつの間に寝てしまったんだろう...

寝ぼけ眼のまま騒がしく鳴り続く時計を止める。


時計は8時を指していた。

そっか色々考えてたらそのまま寝ちゃったんだった

昨夜のことを思い出すと
顔を合わせづらくて、憂鬱な気分になる

しかしこの部屋を出ないわけにはいかない


しかも昨日はお風呂に入らずに
寝てしまったため
髪がベトベトしていて
すぐにでもシャワーを浴びたい


私はドアの前に立つと
フゥーっと大きく深呼吸してから
ソッとドアを開けた


そこにはすでに布団を畳んで
ソファーに座る神崎さんの姿が見えた。

神崎さんは私に気づくと
「おはようございます」
と、柔らかい笑顔を向けた。


「お、おはようございます...

昨日シャワーを浴びずに寝てしまったので...
シャワーを浴びて来ます....」


そう言って私は逃げるように
足早にお風呂場へと向かった。


うぅ...
めちゃくちゃ気不味い...って避けてるのは明らかに私だけなんだけど...
ここから逃げ出したい...



気が重くてゆっくりとシャワーを浴びて
ドライヤーで髪の毛を乾かす。

トントン

ふいに脱衣所のドアがノックされて
「は、はい」
と、返事をして急いでドライヤーを止めた。


「カヨ子さんすみません。
車の修理が来たようなので
少し出て来ますね」


「ハ、ハイッ」


神崎さんの言葉にホッとして
胸を撫で下ろした。


そして脱衣所を出て
私はキッチンに向かうと
二人分のサンドイッチをつくり始めた。

    
< 23 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop