一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
「わぁ...本物のお城に来たみたいです...」


私は車から降りると
完成したホテルを前に
思わず目を見張った。


広大な洋風の庭園には
ゼラニウムやバラの花が色鮮やかに華やぎ、
その奥にはまるで異国の古城のような
壮麗な外観のホテルがそびえ立っている。


「この前まで、まだ足場くらいしか組まれていたのに...」


私は吸い寄せられるように
庭園に足を踏み入れると、
おとぎ話の世界に迷いこんだかのような
錯覚に胸を弾ませた。


「この庭園は夜にはライトアップして
噴水は七色の光に輝くんだ」


神崎さんの言葉に私はますます目を輝かせた。


鮮やかに咲く花々に囲まれた中で
七色の輝く噴水なんて
とても幻想的で美しいに違いない...


「ほんとに素敵です...
ここの設計は神崎さんが考えたんですか?」


「いや...ここの設計は母が考えたんだ。
天蓋カーテンのついてるベッドルームもあるよ」


「お母様はロマンチストなんですね...」


「ハハッ。どうだろう...?
あまり母のそういうとこ想像したくはないかな...」


神崎さんは私と肩を並べて歩きながら、
苦笑いした。

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