一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
メグはダダダダダーッと

あっという間に螺旋階段を掛け下りると
「かよ子ー!!久しぶりぃー」
と、勢いよく私に抱きついてきた。


私はあまりのメグの勢いに少しよろけながらも「メグ...私も会いたかった」
ギュッとメグを抱き締め返す。


そんな二人を見て翼は柔らかく目を細めた。


「社長、すみません...騒がしいやつで...」


啓太くんが苦笑いしながら、
螺旋階段をゆっくりと降りてきた。


「いや...かよ子さんから
とても元気なお嬢さんだと聞いていたから
予想通りで嬉しいよ」


神崎さんはニッコリと余所行きの笑顔で微笑むとメグはポッと頬を赤らめて
わたしの首元にしがみついていた腕をほどいた。


「やだ...イケメン...
はじめまして...私、大野恵と申します」


そして、急に身なりを正して
しずしずと神崎さんにおじきをした。


そんなメグに後ろから啓太くんがチョップをくらわす。


「いったー!啓太、何すんのよ!」


メグは頭を両手で抱え込んで
後ろにいる啓太くんをキッと睨み付けた。


「今更、おしとやかにしても
ガサツなところはバレバレなんだよ!
なっ?かよ子ちゃん?」


啓太くんが私に同意を求めきた。

「フフッ。そこがメグの良いところだからね」

私は笑みを浮かべながらいった。


メグは
「ガサツが長所なんて全然嬉しくないんですけど」と、唇を尖らせている。


「ハハッ、楽しいお友達だね...」


神崎さんの笑顔にメグは再びポッと頬を赤く染める。


「かよ子さん、僕は絵画を設置しに行ってくるから恵さんと一緒にウエディングドレスを選びに行っておいで」


かよ子は「はい」と満面の笑みを浮かべて
メグは「ありがとうございます」
と嬉しそうに神崎さんにむかって頭を下げた。


神崎さんは「それじゃあ、また後ほど...」と、啓太くんに意味ありげに目配せすると
ホテルの外へと出ていった。


「何かあるの?」

メグが啓太くんにジロリと鋭い目で見やる。


「あぁ...仕事のことでちょっとね...
それより、ドレスを見に行こうぜ!!」


啓太くんは目を泳がすと急かすように
私達の背中を押して螺旋階段をのぼっていった。

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