一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
それから私達はスタッフの方に案内されて
衣裳室へとやってきた。

衣裳室の中は
一面ガラス張りのショーケースに
きらびやかなドレスが整然と並んで入っていた。


メグと私は目をキラキラさせながら
ショーケースの中のドレスを眺めている。


「うわぁ...
どれも素敵なドレスばかりね...
私、今日中に選べないかも...」


メグは口をあんぐり空けて固まったまま、
しり込みしていると、

「気になったドレスは何着でも
ご試着頂けますよ」

スタッフの女性は優しく助け船を出した。


メグは「はい...」と
作り笑いを浮かべながらこたえる。



「このドレス、メグに似合いそう...」


私は一つのショーケースの前で
食い入るようにドレスを眺めながら呟いた。


私の言葉にメグも隣に立って覗き込む。


「ちょっと私には可愛いすぎない?」


メグは照れたように頭を掻いている。


「俺もそのドレス、メグのイメージに
ぴったりだと思う」


私達の後ろから啓太くんも
うんうんと納得したように頷いている。


啓太くんの言葉にメグはボッと顔を赤くさせながら「じゃあ...試着してみようかな...」
と、モジモジと呟いた。


メグも啓太くんの前では女の子なんだな...


普段見ることのないメグのはにかんだ様子に
私は微笑ましく目を細めた。


「それでは試着室へご案内致します」


そして、メグはスタッフの女性に連れられ
試着室へと入って行った。




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