一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
メグがドレスに着替えている間、
私と啓太くんはカーテンの前で待っていた。


「かよ子ちゃんは社長と結婚の話は
出てないの?」


啓太くんが唐突に話を振ってきた。


「えっ!?結婚!?
いやいや、まだ付き合って一ヶ月かそこらだよ..?」


私は有り得ないといったように
首を思いきり横に振った。


「んー...
付き合った期間なんて関係ないと思うけどな...」


「そ、それでもまだ早いと思う...」


啓太くんは「そうかなぁ?」と納得していないように首を傾けている。


私だって...

結婚に憧れを持っていないわけではない...


でも、神崎さんの立場上、そんな簡単に結婚は出来ないと思う...


私の結婚に対する意識が
神崎さんの重荷になってしまうのが怖い...


「啓太くん、そういえば研修はどうだったの、?」


私は沈んでいく気持ちを払拭しようと
話題を変えた。


啓太くんは気にする様子もなく
「いやぁ...勉強になったよ」と
嬉しそうに京都の研修の話を始めた。

私はうんうんと啓太の話に耳を傾ける。


そして、10分程経ったとき
「大野さまのご試着が終わりました」
女性スタッフが顔を覗かせた。


そして、ゆっくりとカーテンを開けていく。


そこにはまるでプリンセスのような
メグのウエディングドレス姿があった。

肩の部分にフリフリとした柔らかいレースが
あしらわれていていて、
ウエストから裾に向かってスカートがフンワリ大きく膨らんだシルエットは
メグの愛らしくてキュートな印象を引き立てていた。

メグは恥ずかしそうにモジモジとさせながら
「変かな?」と呟いた。
< 235 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop