一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

「ほとんど私と啓太くんが決めちゃったけど
いいの？」

メグの顔を心配そうに覗き込む私に
「いいの、いいの！私だと決められないし、
二人が似合うと言うんだから間違いないよ！」
私服に着替えたメグはスッキリとした表情を
している。


「そう...メグが良いって言うのならいいんだけど」


私はフゥッと息を吐くと
近くにあるショーケースに目を向けた。


このウエディングドレス、後ろのフンワリとしたリボンがまるで天使の羽みたい...


私がジーッと見つめていると

「あの！すみません！
この子にもこのドレス試着させてもらうことって出来ますか？」

いきなりメグが私の背中に手を添えて
女性スタッフに話しかけた。


私は隣でギョッと目を見開く。


「えぇ！構いませんよ？
こちらのドレスで宜しいですか？」


ニッコリと頬笑む女性スタッフに
メグは「はい！そのドレスでおねがいします！」と元気よくこたえる。


「えっ！？私は大丈夫ですのでっ...」


かよ子は両手を胸の前で振りながら後退りする。


そんな私の腕をメグはガッチリ捕まえて
「せっかくなんだから、着てみようよ！！」
試着室へと無理矢理押し込める。


「ヤだ...恥ずかしいから...」


私はなんとか逃れようとするが、
メグは掴んだ腕を離してくれない。


そうこうしている間に、女性スタッフは
ショーケースからウエディング衣裳を取り出してしまっていた。


「じゃあ、一着だけお願いします...」


私は衣装を出してもらった手前、断りづらくなり、メグに腕をつかまれたまま、
渋々女性スタッフに頭を下げた。