一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

Side翼

かよ子さんがウェディングドレスに着替えている頃、俺はロビーに飾られた
絵画を見上げながら、一人その場に立ち尽くしていた。


かよ子さんの描いた絵画は
天使が綺麗な羽を羽ばたかせ
光にむかって大空を飛びたつ絵だった。


その天使の表情はとても生き生きと輝いていた。


かよ子さんのお父さんが描いた絵画も
躍動感にあふれていて心を揺さぶられたが
かよ子さんの描いた絵は見る人の心を
優しくそっと包み込んでくれるような
そんな温かさに満ちた作品だ...


かよ子さんの優しい人柄がよくあらわれてる...


きっとこの絵を見た人達は
幸せな気持ちになるだろう...


俺は絵画を見上げながら、柔らかく微笑んだ。


そのとき、
「神崎社長！！」
遠くで俺を呼ぶ声が聞こえてきた。

俺は声の方へ視線を移すと啓太くんが螺旋階段の上から掛け降りてきた。



「どうした？」


「あの、恵に神崎社長をすぐ呼んで
来てほしいって頼まれて...
一緒に来てもらえますか？」


「あぁ、ちょうど行こうと思ってた
ところだから...
ドレス選びは順調？」


俺は螺旋階段を上りながら
隣を歩く啓太くんに投げ掛ける。


「はい！ドレス選びは順調に終わったんですが...」


啓太くんは言葉を詰まらせると
「取りあえず、着いてきてもらえばわかります！！」
そう言って、先を急いだ。