一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
俺は衣裳室を出ると
螺旋階段をかよ子さんの手を引きながら
ゆっくり降りていく。

そして、ロビーの壁に飾られたかよ子さんの絵画の前で立ち止まった。


「この絵を見た後だったから、
本当に天使が抜け出してきたのかと思ったよ...」


俺はかよ子さんの絵を見上げながら
フッと柔らかい笑みをこぼした。


「私の描いた絵が神崎さんの設計したロビーに...

嬉しい...」


そして、かよ子さんは潤んだ瞳で絵を見つめながら
「この絵を見た人が幸せになれるようにと願って描いたんです...
みんな幸せな気持ちになれるといいな...」
と幸せそうに目を細めて呟く。


かよ子さんの美しい横顔を俺は黙って
食い入るように見つめる。


俺はそんな人の幸せを願う彼女を
今度は俺の手で幸せにしてあげたいと
心の底から思った...



彼女が悲しいときは一番にこの手で抱き締めて彼女が嬉しいときは隣で一緒に笑っていたい...


ずっと彼女の一番近くにいるのが
俺でありたい...


だけどらその為には母さんを説得しなければならない...


母さんに会わせることで彼女を傷つけてしまうことを恐れていたけど、
彼女とずっと一緒にいるためには
避けては通れない道だ...


大丈夫...きっと彼女なら...

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