一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

「それじゃあ、かよ子さん。
取りあえず、啓太くんが作った料理が
冷めないうちに乾杯しようか。」


神崎さんの言葉に私は「はい」とうなずいて
辺りを見渡すと、ビュッフェテーブルには
美味しそうな料理が並べられていた。


「わぁ...これ全部啓太くんが?」


「おう!昨日から仕込みに入ってたんだ。
日本食だけじゃないからね」


啓太くんは得意げな表情を浮かべた。


「ありがとう。どれも美味しそう...」


私は嬉しそうに目を細めた。


すると、
「ちょっと、啓太!!
何で私までパーティのこと内緒にしてたのよ!」
メグがムッとした表情で
隣に立つ啓太くんを肘で小突いた。


「お前はすぐに顔に出るから
かよちゃんにバレるだろ?」


「失礼ね!そこまで顔に出ないわよ...」


メグは口を尖らせて、ムゥッと不貞腐れている。

啓太くんはメグのことよく分かってるな...


私がフッと目を細めると
メグは「あっ!」と思い出したように肩を震わせた。


そして、ゴソゴソとトートバックの中を漁ると可愛くラッピングされた箱を取り出した。


「かよ子、誕生日おめでとう。
これは私からのプレゼント♪
これからもよろしくね」


「ありがとう...メグ...開けていい?」

私の問いにメグはコクりとうなずいた。


私はワクワクと胸を弾ませながら
包みを開けと、中には可愛らしいペアのマグカップが入っていた。


「可愛い...」


「神崎さんと使ってね♪」


「うん。ありがとう。大切に使うね」


私はそれを大事そうに胸に抱えた。


それから各々テーブルに別れて
神崎さんの乾杯の音頭で誕生日会が始まった。
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