一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
神崎さんは帰りの車の中で
ほんとは二人で出会って初めての誕生日を
祝いたかったと少し悔やんでいた。
でも、私が一番喜ぶことを考えて
皆でお祝いすることを選んだくれたらしい...
私はそれだけで充分嬉しかったのに
神崎さんは天使の羽の形をデザインした
シルバーのブレスレットをプレゼントしてくれた。
絵を描いてると絵の世界に入り込んでしまう私に筆をとるたび、ブレスレットを見て
少しでも自分のことを思い出してほしいらしい...
私は思わず笑ってしまったけど、
きっとこのブレスレットを見るたびに
今日のことを思い出して
心に羽がはえたように
幸せな気持ちになるだろう...
今日は私が30年間生きた中で
一番忘れられない素敵な誕生日...
天国のお父さん...
かよ子は今日で30歳になりました...
まだまだ人見知りは治りそうにないけど
神崎さんに出会ってから
私は一歩踏み出す勇気をもらいました...
外の世界へ踏み出すことで
色々な人たちと関わって
泣いたり笑ったり悩んだりしながら
少しずつだけど成長しているような気がします...
神崎さんがそばにいてくれるだけで
これから先の未来を夢見ることができる...
沢山の幸せをくれた神崎さんに
私は何をしてあげられるかな...
そんなことを考えながら
車の助手席の窓から星空を眺めるかよ子の腕にはキラキラと天使の羽のブレスレットが
光輝いていた。