一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
第12章
ミーン...ミンミンミンミン...


季節は8月に入り、
アトリエの外は蝉の大合唱で
賑わっていた。


ジリジリと夏の太陽が照りつける中、
庭では麦わら帽子に軍手をはめた私は
額に汗をかきながら、
ひとり黙々と草むしりをしている。


「ふぅー。やっと終わった。」


私は立ち上がると
首に掛けているタオルで額の汗を拭い、
スッキリとした庭を見渡して
満足そうに目を細めた。


私はようやく神崎さんを説得して久しぶりに
アトリエに帰ることが出来たのだ。


やはり何ヵ月も空き家状態だったため、
庭は草で生い茂っていた。


朝から草むしりを始めて
時計はすでに正午を回っていた。


「そろそろ、お昼ご飯でも食べようかな...」

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