一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
それから私たちは、お店の人に連れられて
レストランの個室へと案内された。


神崎さんのお母様はまだ来ていないようで
私はフッと肩の力が抜ける。


個室の中は四人掛けのテーブルが設置されていて二人は出入口から近い下座の席に並んで
腰を下ろした。



そして、暫くすると
コンコンッ
と、ドアがノックされ店員が顔を覗かせた。


「お連れ様がお見えになりました」


店員さんの言葉に、
再びに私は緊張が走り、ピンと背筋を伸ばした。


口から心臓が飛び出そうなくらい、
バクバクと音をならす。



「あら、待たせたかしら」


店員のあとから入ってきたのは
キリッとした上品な白いスーツに
花柄のスカーフを巻いた
端正な顔立ちの淑女だった。



この人が神崎さんのお母様...


私がその威圧感に圧倒されてかたまっていると、横に座っていた神崎さんが立ち上がった。

私もハッと気付いて
急いで立ち上がる。


「母さん、僕たちも今来たところだから...
こちらが電話で話した今、お付き合いしている杉崎かよ子さんだよ」



「は、初めまして...
杉崎かよ子と申します...
よ、よろしくお願いします....」


私はバッと深々と頭を下げた。


緊張のあまり声や手が震えてしまう。


    
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