一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
「僕がただあなたに会いたいというだけではダメですか?」

「えっ?」

今なんて...?

わたしは思わず目をパチパチとしばたたかせた。

「あの...ごめんなさい」

私は戸惑いながらも、そう答える。

「それでは仕方ないですね...」


神崎さんは落胆したように
ふぅっと大きくため息をついた。


諦めてくれたのだろうか...


私は「すみません...」と頭を下げた。


「嫌と言うなら
無理矢理連れて行かないといけませんね...」


今までの爽やかな優しい声とは違い
低い男らしい声に私の是筋にゾクッと
悪寒が走り、恐る恐る顔をあげた。



視線の先には
腕を組んで車に寄りかかり
悪戯に頬笑む神崎さんの姿があった。



「あの...」

さっきまでの優しく爽やかだった印象の神崎さんの姿はない。今は先ほどとは逆に威圧感さえ感じられて私の思考はついていかない。


「残念ながら
俺はカヨ子さんが言うような
優しい男ではないです。
今まで仕事でもなんでも
欲しいものは必ず手に入れてきました。」


「え...」


神崎さんの妖艶な笑みに
私は思わず一歩後ずさる


「逃げても無駄ですよ。
俺は貪欲な人間でね。
君が欲しくてたまらなくなりました。
どんな手を使ってでも
必ず君を手にいれるから、覚悟しておいてください。」

神崎さんのわたしを見つめるブラウンの瞳に
恐怖を感じつつも、私は目を反らすことが出来ない。


「今すぐ君を奪いたいのは
山々だけど時間もないですし
今日のとこは大人しく帰るよ。
でも次会うときは遠慮はしないつもりです」


それじゃあ、と言って
神崎さんは満足げに頬笑むと
颯爽と車に乗り込み
あっという間に走り去っていった。

今、何が起こったのだろう...

私は当分の間、
呆然とその場に立ち尽くしていた
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