一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
可愛いな...
男の人に可愛いなんて言っても
喜ばれないかもしれないけど。
私は思わず神崎さんに触れたくて
手を伸ばす。
しかし、
ガシッ
神崎さんの頬に触れる、すんでのところで
神崎さんの大きな手が私の手を掴んで
それを阻止された。
「まだ安心出来ないな...
また逃げ出さないように鎖をつけとかないと」
神崎さんは私の手を掴んだまま、
ニヤリと微笑んだ。
「えっ?鎖...?」
私が目をパチクリさせていると
神崎さんはスーツのポケットから
シルバーリングを取り出して
私の薬指にそれをはめ込んだ。
私は指に輝くリングを見つめたまま固まっている。
「よし、これでもう逃げられないな!」
神崎さんは満足そうに微笑んだ。
「神崎さん、ずるいです...
私ばかり幸せにしてもらってずるい...」
かよ子は幸せそうに泣きながら微笑む。
「じゃあ、僕も幸せにしてもらおうかな」
神崎さんはそう言って
私の腕を引き寄せると私の唇に深く唇を重ねた。
まるで幸せを噛み締めるように
深く深く口づける。
そして、神崎さんはそっと唇を離すと
「これで指輪分の幸せは貰ったから」
満ち足りたような表情で言った。
私は思わず吹き出すと
「神崎さんの幸せは安上がりでいいですね」
と呟いた。