一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
「翼さん、たった1週間ですし...」


落ち込む翼を励まそうとするかよ子だが、
「1週間も...」
翼はさらに落ち込む。


「パパ、お土産買ってきてあげるから
泣かないの!!」
そう言って、翼の頭をヨシヨシする天羽。

翼は「天羽...パパは二人がいないと
寂しくて死んじゃう...」と天羽を抱き締める。


もうこうなったら、
どちらが大人なのか分からないな...
と、かよ子は二人を見つめながら苦笑いしている。


そして、天羽の肩に顔を埋めていた翼が
「よし!もう、今日は早退して、
今から遊びに行こう!」
思い付いたように顔を上げた。


「わーい、天羽、水族館行きたーい♪」


天羽は翼の腕からスルリと抜け出すと
待ちきれないというように、
車の後部座席へと乗り込んだ。


「翼さん!!」


かよ子はムッと怒ったような表情を
翼に向けている。


しかし、翼は嬉しそうに目を細めると
「そんな怒った顔しても
可愛いだけだから...」
そう言って翼はかよ子にチュッとキスをした。


翼は唇を離してかよ子に微笑むと
車の運転席まで行って足を止めた。

そしてかよ子に目を向けると
「ほら、かよ子も水族館行こう!」
おいでと手まねいている。

後部座席の窓が下りて
「ママも早く早く♪」
天羽が顔を出す。




かよ子は諦めたように
はぁっとため息混じりに微笑んだ。



「バック取ってくるから、待ってて!!」


かよ子はアトリエに急いで戻ると
玄関のドアを開けた。
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