一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

すると、そこに飾られている
父の描いたツバサの絵が
視界に飛び込んできて
かよ子は嬉しそうに微笑みかける。



お父さん...


私の世界は翼さんと出逢ってから

今もこの広い大空のように広がり続けています...


悩んだり、落ち込むこともあるけれど

それでも前を向いて

進んでいくことができるのは

話しを聞いて励ましてくれる友達や

いつも遠くから見守って

手を差し伸べてくれている父や母、

屈託のない笑顔で幸せをくれる天羽、

そして、一緒に悩んで抱き締めてくれる

翼さんがいるから...


私は今、沢山の人の支えの中で生きています...


かよ子はリビングの机の上のバックを手に取り、
玄関で靴を履く。


そして、もう一度振り返ると
父の描いたつばさの絵を見つめて、爽やかに微笑んだ。


「お父さん、行ってきます...」


ひと言呟いて、玄関の扉を開ける。



「お待たせ!!」


かよ子の言葉に
車に寄りかかって待っていた翼が
「よし、行こうか!」と、微笑み掛ける。


車の窓から天羽が「行こう!行こう!」と、
はしゃいでいる。



かよ子は幸せそうに微笑むと
二人の元へ足を踏み出した。


その時、


ピーピピピピピー



かよ子の頭上を

一羽のひな鳥が

青々とした大空へと

気持ち良さそうに翼を広げて

飛び立っていった。


fin...


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