一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

そして、
「かよ子さん、帰ろう！」
神崎さんは、私の腕を掴んだまま、
扉に向かってズンズンと歩いていく。


「えっ？帰るんですか？」


私は訳がわからぬまま、
神崎さんに腕を引かれて着いていく。


「えっ？でも、神崎さん...
まだ来たばっかりですよ...？」


しかし、神崎さんは私の問いかけが
耳に入らないようでズンズンと出口に
向かって歩いていく。


神崎さんの横顔に何故か鬼気迫るものを感じた。


「神崎さん...?」


しかし、出口まであと一歩というところで
さっと私達の前に呆れ顔の
総司さんが立ち塞がった。


「こらこら、そこの独占欲丸出し社長。
いくら綺麗に着飾ったかよ子さんを
他の人に見せたくないからといって
横暴すぎますよ」


「えっ？」


私が驚いて隣の神崎さんに目を向けると
「そのドレスは露出が多すぎる...」
神崎さんはばつが悪そうに目線を反らす。


「えっ？ドレス？」


神崎さんの言葉に私は目線を下ろす。

自分の着ているドレスを改めて見たが
ロングドレスなので足は出してないし、
胸元と背中が少し開いている程度だ。


やっぱり似合ってないから、
人様に紹介したくないのかな...


「ご、ごめんなさい...
やっぱりこんな素敵なドレス、
私には似合わないですよね。
すぐ着替えてきます...」


私はそう言って神崎さんの手を振りほどこうとした。

「違うんだ！かよ子さん、綺麗だから！」

神崎さんは逃げようとする私を
グッと引き寄せると自分の腕の中へ閉じ込めた。


二人の様子を見て
辺りはざわざわとざわつき始める。