一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
それから、神崎さんに
色々な会社の人に紹介されたのだけど
気の利いた返しも出来ず
私はただ神崎さんの隣で相槌を打つことしか出来なかった。


紹介してくれる神崎さんに申し訳ない...


私が気落ちしていると
横に立つ神崎さんの胸ポケットがブブッと震えた。


神崎さんは胸ポケットから携帯を取り出す。


「かよ子さん、ごめん。
ちょっと仕事の電話が入ったから
外で掛けてくるよ」


「あっ、はい!
私は食事でもしているので
気にしないで行ってください!」


本当は不安だけど、
心配かけまいと精一杯の笑顔を向ける。


「出来るだけ早く終わらせて戻ってくるから!」


心配そうに顔を覗きこんでくる神崎さんに
私はこくんと笑顔で頷いてみせた。

神崎さんは何度も心配そうに振り返りながらも携帯を手に会場から出て行った。


そして、ポツンと一人残された私は
辺りを見渡す。

総司さんは向こうで取引先の人と
話し込んでいて頼ることは出来ない。
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