一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
これはもう食べて待つしかないよね...
食事はビュッフェスタイルに
なっており、フロアの端の置かれたテーブルの上には豪華な料理がズラっと並べられている。
私は皆の視線をさけるように
足早にテーブルまで足を進めた。
どれも美味しそう...
私はお皿を手に
並べられた料理の中から
好きなものを少しずつお皿へ乗せていく。
そして、料理を装ったお皿を手に
会場の角で一人、料理を食べ始めた。
何故か、皆の視線がこちらにチラチラと
向けられてるようで食べにくい。
きっと、神崎さんの婚約者が
こんな平凡な女で驚いているのだろう...
私は恥ずかしくなり、
うつむき加減で料理を口に運ぶ。
すると、
ツカツカと綺麗な女の人が
私の元に歩み寄ってきた。
その女性の後ろを年配の男性が青い顔をして慌てて追ってくる。
「少しお話しよろしいかしら?」
「あ、はい...」
私は急いで持っていたお皿を
近くの丸テーブルの上に置いた。
その女性と年配の男性の顔には
少し見覚えがある。
確か、ここの会場に来て一番初めに
神崎さんに紹介された人達だ...
名前は確か...
「た、田沢社長と娘さんの...えっと...」
「田沢才加です」
「さ、才加さんですか...し、失礼しました」
私はバッと頭を下げる。