一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
「あの、、どちらに向かっているんですか?」


神崎さんは運転しながらチラリと私に目をむけると再び目線を前に戻した。


「お昼までまだ少しあるからちょっと寄り道していこうと思って。
新しくできた森の美術館へは行ったことありますか?」

美術館と聞いてはピクンと私の耳が反応した。

「い、いえ!
行きたいとは思っていたんですが
まだ行ったことはなくてっ。」

美術館...
どんな作品が飾られているのだろう。

母がとても素敵な美術館だったと言っていたけど。

あぁ...まさか今日行くことになるとは思ってなかったから、気持ちが追い付いていかない。

先ほどまで緊張して固まっていた私は
ずっと行きたかった美術館に行けることが
嬉しくて、ソワソワと落ち着かなくなった。


「ククッ...君ってほんと可愛いね」


「はい...?」


「いや、そんなに喜んでもらえて嬉しいよ。
それが俺に向けられたものじゃないのは
ちょっと悔しいけどね。」


神崎さんは恥ずかしくなるくらい
甘い言葉をくれる。

あまり男性と関わったことのない私でも
神崎さんが女性からモテるであろうことはわかる。


ハンドルを握る神崎さんの
あまりの格好よさに思わず見惚れしまうほどだ。


こんな格好いい人がなぜ私を誘うのだろう。


神崎さんは私を手に入れたいと言っていたけど多分、私みたいな変わった女は
周りにいないだろうし
珍しい玩具を見つけたみたいな
感覚なんだろうな。


私はそんなことを考えながら無意識のうちに
神崎さんの横顔をみつめていた。


「あんまり見つめていると
キスしますよ?」

運転しながらニヤリと意地悪に
頬笑む神崎さんに
私はヒッと思わず悲鳴をあげて
慌てて前に向き直した。


「ハハッ。
そんなあからさまだと
流石に傷つくなぁ」

そう言いながらも神崎さんは嬉しそうだ。

「す、すみません!
でも、神崎さんがすぐからかうから」


「俺はいつでも君には本気なんだけどなぁ。
まあ焦らずいくかな。
よし!着いたよ」


神崎さんはそう言って
美術館の駐車スペースに車を駐車させた。











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