一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない
私は車を降りると、目の前に佇む美術館のあまりの美しさに思わず息を飲んだ。
木々に囲まれた美術館は
白を基調としていて
まるで異国のお城のようだった。
そして美術館のエントランスをくぐると、
天井は大きな吹き抜けになっていた。
天窓からは自然のやさしい光が降り注ぎ、
まるで、木漏れ日の差し込む森の中に
いるようだった。
「綺麗...」
私は吸い込まれるように
足を進めて行く。
そして神崎さんと来ていたことも
忘れて一つ一つの作品を
食い入るように見つめた。
「これはルノワールだわ。
ルノワールはこの輪郭を描かずにぼやかして描く柔らかいタッチがいいのよね...ほんとに彼の絵は素敵だわ...」
そして、絵画に心囚われた私は無意識のうちに独り言を呟く。
「あぁ、とても素敵だ...」
ふいに後ろから神崎さんの声が聞こえて
私はハッと我に返ると後ろを振り返った。
神崎さんは暖かい眼差しでこちらを見つめていた。
「あっ!ご、ごめんなさい!
すっかり神崎さんのこと忘れてました!」
咄嗟にバッと頭を下げる。
「ハハッひどいな...
でもほんとに絵が好きなんだね」
「と、とんだ失礼を...」
「いや、俺も楽しんでるから。
でもここの美術館の絵もいいけど
君の家の玄関に飾られてる翼の絵のほうが好きだな...」
「えっ?」
その言葉に私は思わず目を見開いた。
「いや、買いかぶりとかではなく
ほんとに今にも絵から飛び立ちそうで
最初に見たときから心を揺さぶられたんだ」
「そうですか...」
神崎さんの優しい頬笑みが
亡き父の面影と重なり
思わず寂しさが込み上げてきた。
神崎さんに悟られないよう、
顔を伏せると
美術館の庭園へと足を進めた。
「かよ子さん...?」
ふいに見せたかよ子の悲しそうな表情に
翼は慌ててかよ子の後を追った。
木々に囲まれた美術館は
白を基調としていて
まるで異国のお城のようだった。
そして美術館のエントランスをくぐると、
天井は大きな吹き抜けになっていた。
天窓からは自然のやさしい光が降り注ぎ、
まるで、木漏れ日の差し込む森の中に
いるようだった。
「綺麗...」
私は吸い込まれるように
足を進めて行く。
そして神崎さんと来ていたことも
忘れて一つ一つの作品を
食い入るように見つめた。
「これはルノワールだわ。
ルノワールはこの輪郭を描かずにぼやかして描く柔らかいタッチがいいのよね...ほんとに彼の絵は素敵だわ...」
そして、絵画に心囚われた私は無意識のうちに独り言を呟く。
「あぁ、とても素敵だ...」
ふいに後ろから神崎さんの声が聞こえて
私はハッと我に返ると後ろを振り返った。
神崎さんは暖かい眼差しでこちらを見つめていた。
「あっ!ご、ごめんなさい!
すっかり神崎さんのこと忘れてました!」
咄嗟にバッと頭を下げる。
「ハハッひどいな...
でもほんとに絵が好きなんだね」
「と、とんだ失礼を...」
「いや、俺も楽しんでるから。
でもここの美術館の絵もいいけど
君の家の玄関に飾られてる翼の絵のほうが好きだな...」
「えっ?」
その言葉に私は思わず目を見開いた。
「いや、買いかぶりとかではなく
ほんとに今にも絵から飛び立ちそうで
最初に見たときから心を揺さぶられたんだ」
「そうですか...」
神崎さんの優しい頬笑みが
亡き父の面影と重なり
思わず寂しさが込み上げてきた。
神崎さんに悟られないよう、
顔を伏せると
美術館の庭園へと足を進めた。
「かよ子さん...?」
ふいに見せたかよ子の悲しそうな表情に
翼は慌ててかよ子の後を追った。